北欧やイタリア、スペインなどパンを常食とする国には、〝パン料理〞と呼ばれる料理ジャンルがある。食べきれなかったパンを使って、アレンジするひと皿だ。野菜がふんだんに採れる地域ではオープンサンド、乾燥地域では固くなったパンを使う煮込み料理などバラエティー豊かだ。
店主の村瀬裕紀さんは名古屋や東京のベーカリーで修業。甲府のドイツパンの店でパン料理に出合い、その味に感動したと話す。「もともと料理に興味があり、自分もパン料理にチャレンジしてみたいと考えました。結婚し、北杜市に移住して2年。たまたま独立のタイミングも重なって、今年の7月に『紡麦』をオープンしました」。
村瀬さんは、北杜市産の無農薬全粒粉を使ってパンを焼き上げる。一般的に国産の小麦粉は外国産に比べてグルテンの含有量が少なく、パンを作るのは難しいとされているが、「東京の修業先で国産小麦を扱っていた経験があるので大丈夫でした」と村瀬さんは話す。高加水でもっちりと焼き上げたパン・ド・ロデヴやサクサクの食感が楽しめるバゲット・フィユテなど、小麦の風味と甘味が感じられるものばかりだ。
こうしたパンや地元で採れる季節の野菜を駆使して、伝統的なパン料理を仕上げる。野菜や生ハムをパン生地に練り込んだカネデルリ、ナスやズッキーニなどをトマトで煮込んだイタリア・トスカーナの家庭料理、パッパ・アル・ポモドーロなど、巧みにパンを使ったひと品ばかりだ。「冬はたっぷり野菜を使った温かいスープとパンを組み合わせた料理を提案したい」と楽しそうに話す村瀬さん。
パン料理に対する思いはどんどん膨らむばかりだ。
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DATA
パンとパン料理 紡麦
【エリア】山梨・北杜市
【電話】080・9482・5452
【住所】山梨県北杜市高根町清里3545-4615 ホースブリッジ敷地内
【営業時間】10:00~16:00
【定休日】火、水、木
この記事を取材した人 ライター 小山芳恵 ライター生活四半世紀。八ヶ岳に出合ってその魅力にはまり、ライフワークの一環として八ヶ岳デイズに携わる。 カメラマン 荻野哲生 1986年生まれ。旅する写真家。「写真からストーリーが伝わるように心がけています」。