
いろんな人の協力で開いた“夢の店”
清里にヨーロッパのパブを思わせるグリーンの外壁とロゴが目をひく店がオープンした。フランスはブルターニュ地方の名物であるそば粉のクレープ「ガレット」とウイスキーが楽しめる店だ。



運送業に携わっていたマスターの山下伊佐男さんは、食べ歩きが好きで「いつか飲食店をやってみたい」という夢を抱いていた。同級生の渡邊リシアさんがその夢を掘り下げて聞くうちに頭に浮かんだのは、1日1組の創作フレンチの店「ぶらん八ヶ岳」のオーナーシェフ、本田隆さんの顔だった。

スタッフ 渡邊リシアさん(左)、監修 本田隆さん/ぶらん八ヶ岳(右)
料理人経験のない山下さんの店の監修という、一見無謀なオファーを快諾した本田さんは、地のそば粉も使えて、もっと注目されていいと考えていたガレットを提案した。ガレットの生地は、国産の無農薬栽培されたそば粉を使う。石臼で挽いているため、粒子が細かくてそばの香りもしっかり残る。水はフランスの硬水などいろいろ試して、地元の水に行き着いた。

料理方法の伝授について、「山下さんは素直だから教えていて楽しい」と言う本田さん。山下さんは「厳しい指導でしたが、本田さんとは、普通ではありえない巡り合わせだったと思います」と、どこまでも謙虚な姿勢で取り組む。

こうして、渡邊さんが「可能性しか感じない」と衝撃を受けた本田さんのガレットと、山下さんが好きなウイスキーを並び立てたユニークな店ができあがった。渡邊さんは店舗プロデュースなどを担当し、今はスタッフとして伴走。友人や知人たちの力を借りながら、早くも地元で愛される店になりつつある。「いずれはそばの栽培もできたら」(本田さん)。夢は膨らんでいくばかりだ。

DATA
Galette&Whiskey ROND
【エリア】山梨・北杜市
【住所】山梨県北杜市高根町清里3545-106
【電話番号】070・9056・0880
【営業時間】11:00〜15:00、17:30〜21:00
【定休日】水曜日
この記事を取材した人
ライター 栗本京子
大分県出身。2016年に東京から長野県に移住してフリーランスに。台所・料理・食べることが三度の飯より好き。
カメラマン 五味貴志
長野県茅野市出身。八ヶ岳エリアを中心に人や自然、暮らし、食、ものづくりなどの風景を見つめ、その一瞬を切り取ることを心がけている。
「写真を通して、人や地域の魅力が広がり誰かの人生が動き出すきっかけになったら嬉しいです」。