
極上の酒とさかな
締めは無化調のラーメン
ドイツ・フランクフルトのラーメン店『MUKU』が2014年に新横浜ラーメン博物館に出店。「ドイツの店のオーナーとは幼なじみ」と話す清水俊彦さんが店長を勤め、コロナ禍をきっかけに清水さんは地元の山梨に戻り、甲府で再オープン。昨年、北杜市の津金に移転した。

旧津金村の有力者が所有していたという大正時代の家を改装した店内に、ラーメン店とは思えないほど落ち着いた空間が広がる。茶たんすや棚などは、残されていたものをそのまま使用。北鎌倉の『morozumi』が店内のしつらえを担当。
ドイツの本店同様に、清水さんも化学調味料や添加物を使わない〝純粋なものづくり〞が信条。「甲府で店を営んでいた時から、身も心も豊かになれる、食でもてなせる場所を探していて。ここは水も空気も、流れる時間もいい。本物の豊かさを希求して、この場所にたどり着きました」。
築100年の古民家は、古き良き和モダンな雰囲気で、なんとも心安らぐ空間。清水さんの思いがひしひしと伝わってくる。

MUKU tsugane 外観
「本店と同じく、ラーメンをファストフードとしてではなく、酒やつまみと一緒に楽しめるスタイルを提案しています」と清水さんが話すように、ここでは夜はもちろん、昼も限定のおつまみや酒が楽しめる。まず外せないのは、看板メニューのMUKUラーメンだ。
長時間煮出した豚骨と、甲州地鶏のだしで作るスープは、コクのある深い味わい。まろやかなエスプーマが全体をまとめ、一体感のある味に仕上げている。北杜産の南部小麦を使用した麺ももっちりとして、スープに負けないうま味が感じられる。


おつまみも知り合いの農家から仕入れる野菜を使った塩こうじ漬けなど、地元の素材を盛り込んだ逸品。これらに合わせるのはやはり無添加のナチュールワインや、清水さんがこだわって取り寄せる全国各地の地酒だ。


うまいつまみと酒を楽しみ、極上のラーメンで締める。新しいラーメンの楽しみ方だ。
DATA
MUKU tsugane
【エリア】山梨・北杜市
【住所】山梨県北杜市須玉町 下津金2847
【電話番号】0551・30・9369
【営業時間】11:00〜14:30(最終入店13:30)、 18:00〜21:30(最終入店19:30)
【定休日】火、水
この記事を取材した人
ライター 小山芳恵
ライター生活四半世紀。八ヶ岳に出合ってその魅力にはまり、ライフワークの一環として八ヶ岳デイズに携わる。
カメラマン 石塚実貴
1984年生まれ。制作会社や広告代理店を経て2013年フリーランスとして独立。雑誌・広告等を中心に活動中。