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思いの詰まった韮崎の地を
活気と笑顔あふれる憩いの場に<明希知美さん>

2025.2.14 働く暮らす

 

 韮崎市でコミュニティースペースの運営に取り組む明希知美さん。自分や家族のため始めたナッツ作りも、今では「みんな」のため。「食を通した幸せづくり」の発信に力を注ぐ彼女の夢、そして今後の展望を聞いた。

実体験から薬膳を学び〝お供なナッツ〞を考案

 のどかな田園風景が広がる中、緑に囲まれてひっそりと佇む古い一軒家。縁側の窓は思いきり開け放たれ、吹き渡る風が心地いい。「自分で壁を塗ったりしながら、ちょっとずつ改装しています」とにこやかな笑顔を見せるのはこの家の主、明希知美さんだ。2人の子どもとともに東京と八ヶ岳の2拠点生活を送りながら、モデル業と、オリジナルフレーバーナッツ「otomonuts®(オトモナッツ)」の製造販売を行っている。

 明希さんが「オトモナッツ」を作るようになったきっかけは、子ども時代までさかのぼる。「昔は体が弱くアトピー体質で。でもその時はシンプルな食生活をしていたら自然と落ち着きました」。食事に関しては二の次だった20代、がむしゃらに仕事を頑張った結果、体を壊した。「このままだと、将来子どもが持てない可能性があると言われ、漢方で体質改善を図ることにしました」。漢方を始めて年で体が整ってきたという明希さんは、そこから漢方を勉強し、薬膳コンシェルジュの資格を取得。「薬膳をアウトプットできるものを考えた時に、いつも私が食べているナッツにたどり着きました。ナッツは栄養満点で、私から見れば〝元気玉〞のようなものです」。

 体にいいナッツを、子どもたちにおやつとして食べさせたい。そんな思いから白砂糖を使わずに作るドライフルーツと、薬膳の要素を取り入れたフレーバーナッツを考案。その試作過程で目をつけたのがフルーツのB級品だ。「実際に農家さんからB級品を仕入れてアップサイクルし商品にすることで、農家さんの悩みが緩和され、お客さんにもおいしく食べてもらえる。この良い循環に貢献できてうれしいです」。アイデア満載のオトモナッツは、健康志向の人たちを中心に評判を呼んでいる。

人脈が広がる新生活。ある養蜂家との出会い

 明希さんが2拠点生活を始めたのは、コロナ禍で子どもたちが閉鎖的な暮らしを強いられたのがきっかけだ。東京から近く、自然が豊かなところを探して山梨に決めたそう。「先祖のお墓も山梨で、何か縁があったのだと思います」と話す明希さん。子どもたちの環境を変えることで、自分自身も新しい暮らしが始まり、新たな人間関係が広がった。「山梨の人はみんな温かくて、家族みたいに接してくれる。ここでの暮らしに不安はありませんでした」。

 その中で、とある養蜂家と運命の出会いを果たす。「彼が作る搾りたてのはちみつは、とてもきれいで、クリアな味わいでした。思わず感動して、子どもたちにぜひ養蜂体験をさせてほしいとこの家を訪ねました」と明希さんは振り返る。

大切な人の思いを受け継ぎ、新たなコミュニティーの場に

 養蜂体験を通して、自然界のサイクルの重要性を改めて知った明希さんは、養蜂家とタッグを組むことを決意。しかしそんな矢先、彼は帰らぬ人となる。「一時は希望の光が消えそうになりましたが、私がこの場所を引き継げば、彼の軌跡も自分なりの方法で引き継いでいける、そう思いました」。

 こうして、本業の合間を縫って韮崎に通う日々が始まった。知り合いの大工に教わりながらリノベーションし、新たにコミュニティースペース『アヰルナ』を始動させた。「ここでポップアップやマルシェはもちろん、今後は蜂に関するワークショップやいろいろな人と食でコラボして盛り上げていきたい。将来的にはオトモナッツのカフェも運営したいですね」。

【Name】明希知美さん
モデルとして雑誌や広告などで活躍する傍ら、薬膳コンシェルジュの資格を取得し、オトモナッツを手がける。韮崎市でコミュニティースペースづくりに奮闘中。

DATA

この記事を取材した人
ライター小山芳恵
ライター 小山芳恵
ライター生活四半世紀。八ヶ岳に出合ってその魅力にはまり、ライフワークの一環として八ヶ岳デイズに携わる。


カメラマン 堀宏之
愛知県出身。その一瞬を捉えるカメラマン。ベストショットを求め八ヶ岳でも活動をおこなう。

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