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同じ志を持つ仲間と土に触れ、 未来を思う「畑コミュニティー」<Planners Farm>

2025.2.28 八ヶ岳のモノ楽しむ聞く、学ぶ

 小淵沢で始動した「1億総スモールファーマー化プロジェクト」。 “土から育てる”環境にも優しい畑作りで、サステナブルな食生活の第一歩を踏み出したい。

単発でも参加可能!自然栽培を気軽に体験

 農薬も化学肥料も使わず、自然の力で畑作りを行う試み「Planners Farm(プランナーズファーム)」。主催の粟田あやさんは、数年前、集った仲間と八ヶ岳の耕作放棄地で畑を始めたことが転機となり、本格的に野菜作りに取り組むように。さらにコロナ禍を経て、「食べるものを少しでもいいから自分で作る」、そんなサステナブルな暮らしを重視するようになった。

 活動はおよそ月1回。内容は、小淵沢に集合したメンバー全員での畑チェックに手入れや収穫。その後ランチ休憩を取り、収穫したばかりの野菜を調理してみんなで食卓を囲む。この日は、昨年に引き続き自然菜園スクール代表の竹内孝功さんをアドバイザーに迎えての開催。「竹内さんに教わりたくて来ました」と、熱心に講座を聞く参加者の姿が目立った。

 年度ごとのプログラム募集だが、活動3年目の2024年から単発でも参加が可能に。畑初心者も気軽に通いやすくなった。八ヶ岳在住者はもとより、東京との2拠点生活、関東圏在住などさまざまなメンバーが集まる畑では、「みんなで話しながら作業するのが楽しい」、「土を触るのは何度体験しても新鮮!」といった参加者たちの声であふれる。粟田さんも、「都市と八ヶ岳をつなぐコミュニティーに育ってきた」と楽しげだ。

 東京と八ヶ岳の2拠点生活ののち、2024年7月から八ヶ岳に完全移住した粟田さん。この事業が始動してからは、都市部のマルシェで八ヶ岳の野菜や加工品をPRしたり、畑で多様性を学ぶ企業研修を始めたりと、取り組みも広がった。「畑での体験は、日常生活やビジネスにも生かせる学びや気付きをもたらしてくれます」。その魅力や意義をさらにより多くの人に知ってもらうべく、東京で培ったつながりを生かして活動の幅を広げている。

年を重ねるごとに土が奥までフカフカに

 畑を管理しているのは、公私にわたり粟田さんを支えるパートナーの山下さん。メンバーと一緒に試行錯誤しながら畑を耕し、整えてきた。現在は、竹内さんからのアドバイスのもと、サークル状の畑を2面整備。野菜を育て、年を重ねるごとに自然と土が良くなっていく循環サイクルを作り上げた。同心円状に畝(うね)を立てて、半分を夏畝に、残り半分を冬畝に。


これを毎年入れ替えることで、連作障害を回避する。「冬畝に植えたキャベツの葉っぱが全部なくなりダメになったかと思ったのですが、今日見たら何と復活していて(笑)。多年草の野菜なので、何回でもリベンジできるんです。この夏は難しいと思いますが、秋が来て涼しくなってきたら葉が巻いてくれるようにお世話していきます」と山下さん。そんなハプニングも〝再生型〞の畑作りの醍醐味だ。

 「プランナーズファーム」の特徴をひとつ挙げるなら、「草や虫を敵としないこと」だろう。農薬や化学肥料の代わりに、通路に6種類の種から成る緑肥ミックスをまいている。それらは敷き草として、土が裸にならないように畝の上を覆うシート(草マルチ)の役割も果たす。これがあると、乾燥や地温上昇、雨の跳ね返りによる病気などを予防してくれたり、土着菌やミミズがそれらを分解することで腐植化され、土をフカフカにしてくれる。

 年を重ねるごとに土が層になり、水持ち・水はけともに良好な土が育つという好循環を生み出すのだ。他にも、草マルチが益虫のすみかとなることで野菜の虫害を軽減したり、花が咲く時期に株元15センチ以上を残して刈り取る作業をすれば、雑草を数年間抑えることもできる。

 野菜、草、虫が互いに良い影響を及ぼし、美しい調和を描くことで畑はますます豊かになる。「プランナーズファーム」では、そんな自然のサイクルの中に、気付きや学びの種がたくさん散らばっていることを私たちに教えてくれる。

【Name】粟田あやさん(右)山下貴大さん(左)
粟田さんは(株)アイクリエイトの代表を務め、コンサルティング事業やサステナビリティプロジェクトの企画を進めている。山下さんはプランナーズファームの畑の管理を担当。

プランナーズファーム2025年度の活動計画

日にち曜日内容
4/5はじめに/春野菜の種まき・定植/ネギ&ジャガイモの植え付け
5/11春野菜の種まき・定植/夏野菜の準備
5/25 夏野菜の定植(その1)
6/8夏野菜の定植(その2)、サツマイモの植え付け
7/12夏野菜の収穫のコツ、草マルチと補い、誘引法
8/2夏野菜の回復方法
9/6秋野菜の種まき・定植/自家採種
10/4越冬野菜と夏野菜の片付け
11/15大豆・ 秋野菜の収穫、夏野菜の片づけ仕上げ、麦種まき
12/6大豆・ 堆肥の切り返し、こんにゃくづくり等

※基本的にはナビゲーターによる進行・実習です。 ※日程・内容は、天候や生育状況などによって変更になる場合もございます。

DATA

この記事を取材した人

ライター 大川真由美
ライター仕事の傍ら、旅、美食、信仰など感性を刺激する体験でリフレッシュすることが大好き。
八ヶ岳の自然や暮らす人々にも興味津々。


カメラマン 高島裕介
カメラマン歴22年。八ヶ岳の自然に魅了されて、八ヶ岳デイズの撮影をライフワークとしている。

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