八ヶ岳での暮らしを実現するために、地域おこし協力隊に応募。 地域のコミュニティーに助けられ仕事も子育ても充実した日々だ。
八ヶ岳で暮らし「人生得してる!」と日々、五感で実感
森の中で探索を楽しむ2人。
自然との触れ合いは移住前の環境ではできなかったことだ。
緑生い茂る森の中にあるコワーキングスペース『WORK SPACE 原村』。ここで働く岡崎苗美さんは、かつて添乗員として全国を飛び回った経験を持つ。「その時、どんなところにも暮らしはあって今の自分の暮らしは当たり前じゃないんだと気づきました」と話す岡崎さん。「もともと自然の中で暮らしたいと思っていたので、千葉で暮らす理由が分からなくなって。子どもが生まれ、休日にはショッピングセンターでお金を使って遊ぶ暮らしに疑問を感じるようになりました」と移住を決意し、原村の地域おこし協力隊に応募。仕事がある夫の祐哉さんは千葉に残り、息子の陸斗くん、大歩くんと3人で原村に住むことになった。もともと初対面でも打ち解ける自信がある岡崎さんは「子連れ移住は新しい人間関係をつくるいい機会と捉えました」と笑顔で話す。
現在はまちづくりコンシェルジュとして移住希望者の相談を受ける仕事をしながら、親子3人で原村の暮らしを楽しんでいる。陸斗くんと大歩くんは学校帰りに原村が運営する子ども・子育て支援センター『はらっぱ』に立ち寄り、友達と遊んだり宿題をして過ごす。「身内が近くにいないという似たような境遇の移住家族が多いので、夕飯まで面倒を見たり一緒に送迎したりと、お互いに協力しあっています」と岡崎さん。「原村はコンパクトで役場も学校も近く、子どもがいつも身近にいるという安心感もあります」。
窓の外に原村の緑を一望する 『WORK SPACE 原村』。
環境の良さに魅せられ、ここを利用して仕事をする人も多い。
子どもたちとの過ごし方も変わった。「自然が豊かで日常が旅行のように楽しいから遠出をしなくなりました。街なかの環境で景色に興味がなかった子どもたちも、今日は風が気持ちいいね、雲の形が面白いよと話すようになり、感性が育っていると感じます」。
さまざまな職業の人たちがここを仕事の拠点にしている。 利用料は3時間¥500、1日¥1,000、月額¥5,000と手頃だ。
原村に移住して4年。岡崎さんは「今も毎日、いいことしかないと実感しています」と晴れやかな表情で話す。「八ヶ岳の表情も毎日変わるし、空気も水もきれい。何よりも人とのつながりが温かいのがうれしいですね」。現在もラグビークラブや自然学校と、団体を立ち上げて忙しい日々を送る岡崎さん。「選び抜いてきた場所で、与えられる暮らしではなく、自分で何かを生み出す暮らしに魅力を感じています」。
岡崎さんは多世代交流や地域活性化を目指す「絆 八ヶ岳ラグビークラブ」も運営している。陸斗くん、大歩くんも所属する。
岡崎さんは仲間と共に
「八ヶ岳原村自然遊学校」を立ち上げ、親子を対象にした自然体験活動やキャンプ イベントなどを開催している。
Family Data_Case 9 【Name】岡崎苗美さん、陸斗くん、大歩くん 【Migration】完全移住 千葉県→長野県諏訪郡原村 ※夫の祐哉さんは千葉県在住 【Working Style】原村の地域おこし協力隊を経て就職 原村の地域おこし協力隊として3年間勤務し、『合同 会社ヤツガタケシゴトニン』の社員に。まちづくりコン シェルジュとして働く。 WORK SPACE 原村 【エリア】長野・原村 【電話】0266・75・2704 【住所】長野県諏訪郡原村17217-1625 【その他 8coworking.com
原村への移住相談なら 岡崎さんは八ヶ岳自然文化園内にある『デリ&カフェK』を拠点に、民間の窓口およびまちづくりコンシェルジュとして移住相談を行っている。移住相談を申し込む場合 はメールで事前に予約が必要だ。 mail naemi@8sigotonin.com
この記事を取材した人 ライター 小山芳恵 ライター生活四半世紀。八ヶ岳に出合ってその魅力にはまり、ライフワークの一環として八ヶ岳デイズに携わる。 カメラマン 松井 進 大阪生まれ。山岳と建築写真を中心に活動しており八ヶ岳デイズの撮影にも携わる。