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山の稜線と田園を望み、 縁側で愉しむワインと焼き菓子<古民家と蔵とワインと焼菓子 トゥレジュール>

2025.11.7 暮らす食べる

古いもの好きな夫婦が惚れ込んだ古民家は、家族の幸せな暮らしと生業の舞台へと生まれ変わった。百年の時に包まれる「トゥレジュール」へようこそ。

夏はこの縁側で毎週BBQを楽しむ。右から真子さん、小花ちゃん(1歳)、花寧ちゃん(小2)、忠春くん(小5)、啓太さん。人懐っこいボーダーコリーのエトは家族みんなのよき相棒に。家族おそろいのTシャツは、啓太さんが前職でお世話になった方から開店祝いとしていただいたもの。

刻まれた時を味方に
のびのびと暮らす


2025年春、原村の田園風景の中にワインと焼き菓子の店ができた。東京に住んでいた馬場啓太さん・真子さん夫妻は当時、これからの人生について考えるため、家族全員でさまざまな場所や人を訪れていた。その折に寄った原村に惹かれ、2021年に移住した。

もともと古いものが好きな啓太さんと真子さんだが、集落の奥にあって、まるでお化け屋敷のように古びていたこの家は、はじめは気になる程度だったが、改めて見に来た際に、随所に見え隠れする建物としての立派な痕跡や、敷地から望む田園風景の美しさに感動 。「 蔵と室(むろ)を見た妻の表情が輝いたのは忘れられません」(啓太さん)。外気に影響されにくい地下に穴を掘り、食糧などの貯蔵に使う室は、冷蔵庫のない時代の暮らしの知恵だ。

築130年の家と蔵は、今も少しずつ改修を進めている。東京では未経験だったDIYは、最初はこれ以上ないほど苦労したものの、その経験を糧に今もコツコツと続けている。木とガラスのレトロな建具の美しさと引き換えに、冬場の寒さは容赦なく、最初の年末年始は体調を崩し、何十年ぶりにお酒を飲まない正月になったという。それでも、ここでのびのびと育つ子どもたちを見ていると、この家での暮らしを選んで正解だったと喜びをかみしめている。

暮らしに沿うような
商いを求めて


いつかは家族で小さな商いをしたい――。そんな憧れを持っていた啓太さん真子さんは、原村に移住し、思わぬきっかけをもとに商いを始めることに。「移住後、子どもを通じてたくさんの知り合いができ、よく食事やBBQに誘ってもらいました。その際に必ず持参していた妻セレクトのワインと手づくり焼き菓子は毎回大変好評で、購入したいという声をいただくこともあって。そんなことから、この2つが小さな商いへと発展しました」(啓太さん)。

集落の奥にある店は、地の利に劣る。しかし、グーグルマップとインスタグラム、そして口コミで、近隣はもちろん、旅行中の立ち寄り先として来店する人は多い。常連さんが友人を連れてきてくれることもあり、「お客様と一緒にお店をつくっている」と感じている。

店舗にしている蔵は、扉を2回くぐって入る。真夏でも比較的涼しい。ワインはヨーロッパのナチュラルワイン主体で、価格帯は¥2000台から。「味わいや、つくりへのこだわりはもちろんですが、日々の食卓に取り入れやすいお値段にもこだわっています」(真子さん)。

「トゥレジュールはフランス語で〝日々〞という意味で、何気ない日常を心豊かに過ごせるように、という想いを込めています。色々なことがある日々の中で、食卓を豊かにしてくれるワインと焼き菓子で、少し特別なひとときを過ごしていただけたら嬉しいですね」(啓太さん)。

DATA

古民家と蔵とワインと焼菓子 トゥレジュール
【エリア】長野・原村
【住所】長野県諏訪郡原村八ツ手2895

【電話番号】090・3861・4288

【営業時間】火・水 11:00〜17:00、金・土 11:00〜18:30

【定休日】日、月、木

【他】古民家と蔵とワインと焼菓子 トゥレジュール 公式サイト(こちらをタップ)
古民家と蔵とワインと焼菓子 トゥレジュール 公式Instagram(こちらをタップ)

この記事を取材した人
ライター栗本京子
ライター 栗本京子
大分県出身。2016年に東京から長野県に移住してフリーランスに。台所・料理・食べることが三度の飯より好き。

カメラマン阿部紗夕里
カメラマン 阿部紗夕里
1987年神奈川県生まれ。美味しい水と野菜と自然がある場所に住みたいとの思いで、現在長野を拠点に活動。自然と人を繋げる写真を撮れないか模索中。

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