
初めましての人も、顔なじみの仲間も、 ここに来ると自然とひとつの輪ができる。偶然の出会いから、気づけば「村人同士」の絆が芽生えている。
小さな家で、しなやかに暮らす体験ができる『Homemade Village』。緑に包まれた約300坪の土地に足を踏み入れた瞬間未来のライフスタイルの可能性が静かに立ち上がる気配を感じるだろう。
タイニーハウスで暮らすように泊まる
八ヶ岳南麓、標高1000メートルの澄んだ空気の中にある『ホームメイド ビレッジ』。必要な機能を凝縮したコンパクトな住まい「タイニーハウス」に宿泊できる体験型施設だ。車で牽引できるサイズの小さな家々が、庭や畑、トイレやシャワーなどの共用施設を囲むように並び、ひとつの集落を形づくっている。


夏には、あちこちでクワガタの姿も見られる。
オーナーの竹内友一さんは、タイニーハウスを「小さな寝室」であると同時に「コミュニティと共存する暮らしの実験場」と位置づける。ここでの滞在は、旅先での一夜にとどまらない。「もし自分が、ミニマムに暮らすとしたら?」という未来の姿を想像させてくれるものとなる。

キッチンやリビングを備えた共用施設・コモンハウス。ハンモックのあるテラスは、ブドウ棚になる予定だ。
滞在者は、足を踏み入れた瞬間から自由に過ごす。ハンモックに身を預けて読書をし、畑で野菜を収穫する。あるいは、庭で摘んだハーブをお茶にして夕暮れを眺め、共用キッチンでの料理を楽しむ。夜になれば薪ストーブのあるコモンハウスに集い、語り合う。新しい共生型のライフスタイルを試す、余白のある旅を叶えてくれる場所なのだ。

竹内さんは、2017年にアメリカのタイニーハウス・ムーブメントのドキュメンタリー映画『simplife』も制作。

芝の上にヒューゲルカルチャーを設置した畑。雨水を溜めて自動潅水する仕組みを準備中だ。
小さな暮らしを知り生き方を編み直す
かつて、樹木を活用したツリーハウスを手掛けていた竹内さんは、東日本大震災の復興支援に赴いた際「自分の部屋を持ち運びたい」という体験をしたことからタイニーハウスに着目した。タイニーハウスは余計なものを削ぎ落とし、最小限の空間に本当に必要なものを選び取る場だ。「モノを一つひとつ取捨選択する断捨離は、意外と難しいんです。あえて小さな器をセットアップしてみることで、自分に本当に必要なものが何かがわかるようになります」と竹内さん。暮らしの実験装置であるこの場所を、いずれは村として住めるようにしていきたいという。

イベント時には要相談で食事の提供も可能だ。写真は、グリルチキンや焼き野菜、ピクルス、ファラフェル(ひよこ豆のコロッケ)など。自家製ピタパンに挟めば、セルフサンドイッチが完成。

宿泊は基本的に素泊まりで、滞在者の多くは共用キッチンで思い思いに自炊を楽しむ。

サンルームのような共用スペース。右手は男女別のトイレとシャワールームだ。
家族で自炊する人、テレワークに勤しむ人、絵筆を取る人。モノを減らした分だけ、時間やつながり、感性は、むしろ膨らんでいく。「暮らすこと」に重心を置いた体験は、二拠点居住や庭先の離れ、店舗などのヒントにもなるだろう。八ヶ岳の風や土の匂いの中で、自分のリズムで過ごす時間は、「暮らしとは何か」を問いかけてくる。小さな家がもたらす大きな気づきが、ここにはある。


宿泊するタイニーハウスは、タイプごとに表情が異なる。写真は最大4名が宿泊できる片流れ屋根のタイプC。
DATA
Homemade Village
【エリア】山梨・北杜市
【住所】山梨県北杜市大泉町西井出 8240-2717
【営業時間】IN 15:00、OUT 11:00
【他】Homemade Village公式サイト(こちらをタップ)
この記事を取材した人
ライター 綾部綾
長崎県出身。故郷の港町とは全く違う八ヶ岳の景色と空気感に魅せられ、取材の機会を心待ちにしている。
カメラマン 篠原幸宏
1983年生まれ。20代後半の旅をきっかけに写真を始める。現在、長野県を拠点に活動中。









